芸術家ミケランジェロはかつてこう語ったと伝えられる。“私は大理石の塊の中に天使を見つけた。そしてその天使を解放するために彫ったのだ。” この言葉は、創造の本質を語るのみならず、吉澤淳という人物の生き方をも照らし出す。彼の人生は、まるで未完成の大理石を前に、見えない何かを信じて形を削り出していくような営みそのものだ。
1986年、栃木県に生を受けた吉澤は、美容という分野において卓越した技術と独自の哲学を築き上げてきた。その道のりは平坦ではなく、むしろ激しい試行錯誤と情熱の積み重ねで彩られている。2006年に栃木美容専門学校を卒業した後、彼は恵比寿のサロンでキャリアをスタートさせる。その後、表参道の有名店に転職し、最先端の技術と流行が交差する環境で腕を磨いた。だが、彼の視線はいつもその先を見据えていた。
2011年、吉澤は地元である宇都宮に帰郷する。その理由は単なるノスタルジーではない。彼には、美容師としての技術と情熱を通じて地元を活性化させるという大きなビジョンがあった。2016年には独立を果たし、2021年に株式会社PLUSを設立。現在、宇都宮市を拠点に栃木県内外で5店舗を展開するなど、地域に根ざした美容事業を展開している。
彼の経営理念の中心にあるのは、チームワークと人への思いやりだ。スタッフ一人ひとりの個性を尊重し、その才能を最大限に引き出す環境を整えることに尽力している。吉澤氏が語るには、「スタッフの明るさと元気さ、そして熱い気持ちは会社の最大の強み」であり、それが顧客との信頼関係を築く基盤となっている。
美容業界の競争は激しい。しかし吉澤は、それをプレッシャーではなく挑戦として受け止めている。彼が2019年に参加したコンテスト『DESIGNERS SOUL』での優勝は、彼の名声を高め、外部講師としての依頼が増加するきっかけとなった。その後も、サロンワークにとどまらず、地域イベントや雑誌掲載、さらにはSNSを活用した世界への発信など、多岐にわたる活動を展開している。
吉澤のビジョンは、単なる国内での成功にとどまらない。彼が目指すのは、欧米での技術発信とヘアメイクの挑戦だ。アジア圏への進出が一般的な中、彼の目標はさらに高い。彼が語るには、「技術が発祥したイギリスやファッションの中心であるアメリカやパリで、自分の技術を認めてもらいたい」という信念がある。この挑戦への準備は着々と進んでいる。例えば、ホノルルで行われる祭典に着物デザインのパートナーと参加し、その模様をSNSで発信する計画もその一環だ。彼の行動力と創造力は、美容業界の枠を超え、地域社会や文化をも巻き込む。
吉澤の座右の銘である『臥薪嘗胆』は、彼の生き様そのものを表している。辛い下積み時代を乗り越え、現状に満足せず、常に新しい可能性を探求する姿勢は、彼を支える柱となっている。それはまるで、ミケランジェロが大理石の中に見た天使を追い求めるように、彼もまた、自らの中にある可能性と理想を信じ、形にしていく旅を続けているかのようだ。
PLUSの未来は、単に美容室の成功にとどまらない。それは、栃木県という地域全体の発展や、世界への技術発信というビジョンと密接に結びついている。吉澤淳という人物の歩みは、地域と世界、伝統と革新、そして現実と理想の交差点に立つ、ひとつの芸術作品そのものだ。そしてその作品は、まだ完成を迎えてはいない。彼の手によって削り出される未来が、どのような形をとるのか…それを見守ることは、私たちにとってもまた、一つの喜びである。
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役職
代表取締役
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氏名
吉澤 淳
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会社名
株式会社PLUS
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URL
不可能はない
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