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  • 役職

    代表取締役CEO

  • 氏名

    鶴岡 裕太

  • 会社名

    BASE株式会社

運は自分で
引き寄せろ

まるで潮騒の中で一筋の光を探すように、インターネットの海原を駆け抜けてきた男、鶴岡裕太。そんな彼が生み出したBASEは、ただのネットショップ作成サービスではない。それは、個人やスモールチームが夢を形にするためのプラットフォームであり、社会の在り方そのものを変革する手段だった。

1989年、大分県の静かな街に生まれた鶴岡は、幼いころからデジタルの世界に触れていた。インターネット好きな6歳年上の兄の影響で、ゲームや掲示板に熱中する日々。やがてその興味はプログラミングへと広がり、東京工科大学に進学した彼はウェブサービスの開発にのめり込む。そして、クラウドファンディングのCAMPFIREでのインターン経験が、彼の運命を大きく変えた。

彼がCAMPFIREの創業者、家入一真に出会ったのは偶然ではなく、必然だったのかもしれない。同じ九州出身の家入は、鶴岡にとって特別な存在だった。家入のもとで働く中で信頼を勝ち取り、彼を通じてサイバーエージェントの藤田晋やグリーの田中良和といった、インターネット業界の巨星たちとつながっていく。このネットワークこそが、鶴岡にとっての最初のエンジンだった。

2012年、大学在学中にBASEを立ち上げた鶴岡は、母親との会話から着想を得たという。婦人服の店を営む彼の母は、ネットショップを作りたがっていたが、その複雑さやコストに躊躇していた。「誰でも簡単にネットショップを作れるサービスがあれば」というアイデアが生まれ、BASEが誕生したのだ。

BASEのローンチは鮮烈だった。11月にサービスを公開すると、わずか1か月で1万店舗が開設。鶴岡のシンプルで明確なビジョンは、多くのユーザーの共感を呼び、BASEは瞬く間に広がっていった。

だが、成功の裏には困難もあった。創業期のBASEは少人数で運営されていたが、規模が拡大するにつれ、情報伝達の方法や組織運営に課題が生じた。社員が次々に退職していく中で、鶴岡は経営者としての責任を痛感する。「すべての失敗は自分の責任だ」と語る彼は、その苦境から学び、組織の透明性を高めるためにミッションや行動指針を明文化し、共有することを決断した。

彼の哲学はシンプルだ。誰もが自分らしく生きられる社会をつくること。そのためにBASEは、単なる利益追求ではなく、社会に貢献するプロダクトを目指す。鶴岡が掲げるミッション「決済を民主化することで人々を強くする」は、彼の行動のすべてに反映されている。

2019年、BASEは東京証券取引所マザーズ市場に上場。大きな節目を迎えた鶴岡は、その後も変わらず、未来を見据えた挑戦を続けている。AIやインターネットの可能性を楽観的に捉えながら、長期的な視点でプロダクトを進化させる。

「運の良さは自分で引き寄せるもの」と語る鶴岡にとって、成功とは偶然ではない。彼の周りには、常に信頼し合える人々がいた。家入や藤田のようなメンターたちの存在が、彼の原動力だったのだ。

鶴岡裕太は、インターネットがもたらす自由を信じ、それを武器に社会を変えようとしている。その歩みは、まだ始まったばかりだ。

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