少しだけ、考えてみてほしい。我々が日々お世話になっているあのオフィスやお店、さらにはイベント会場などは、実は派遣スタッフなしではうんともすんとも回らないことが多々ある。むしろ、派遣が止まれば世間が止まるかもしれないほどの勢いだ。「あれ? 今日なんか静かだな…」と思ったら、派遣スタッフがいないからだったりする。人材派遣という業界には、世の中の仕組みを回す裏方としての実力として本当に計り知れないものがある。
北海道北斗市。潮の香りが漂う町で佐々木高之は生まれ育った。不動産、建築、造船業界を経て、彼はやがて「人材派遣業」という未知の世界へと踏み込むこととなる。それは単なる偶然ではなく、当時造船所で働いていたときに、同僚の姿を見ているうちに芽生えた必然的な興味であった。そして次第に佐々木の目には、その仕組みが鮮烈なビジネスチャンスとして映ったのである。
そして、1999年。群馬でティー・エム・エス株式会社を設立。しかし、創業当初の道のりは決して平坦ではなかった。主力クライアントを失い、貴重な人財を奪われかけるなど、挫折と困難が次々と彼を襲う。だが彼の心の奥底には強い決意があった。「必ず、群馬県の人材業界でトップに立つ」。彼はその決意を胸に、地域のニーズを丁寧に捉え、誠実に応え続けることで信頼を積み上げていった。
佐々木は、仕事を単なる義務ではなく「喜びを得る手段」と位置付けている。彼自身も、固定概念に囚われない柔軟な視点で世界を捉え、常に新しい可能性を見出してきた。興味深いことに彼は「願えば叶う」ことを胸に秘めているが、自身の願いを、運やゲン担ぎといった曖昧な概念に頼ることはない。つまり、つねに100%の力で、今を生き抜き、その力が必ず自身の願いにつながることを信条としている。
そして20年以上の歳月が流れた今。国内外に20以上の拠点を展開する企業へと成長しているティー・エム・エス株式会社は、すでにただの人材派遣会社ではなくなった。そこには、佐々木が理想とする「人間らしく働ける環境」が広がっている。ティー・エム・エスでは、社員が自由に意見を述べ、有給休暇は積極的に取得し、仕事が終わればすぐに帰宅できる環境を構築。試行錯誤を重ねながら、仕事の喜びとモチベーションを高めることに成功したのである。
人材派遣業を通じて、人々の人生に触れ、その人生をより豊かに導くことこそが、佐々木の使命だ。彼は今後さらに5つの支店を増やし、20支店という目標を実現しようとしている。そして各支店の地域により密着し、地元企業と地域社会全体に恩恵をもたらすための新たな施策にも、積極的に取り組んでいるという。
佐々木高之という一人の男が人生のあらゆる局面をまさに100%楽しみ、挑戦を重ね続ける姿に、ワクワクが止まらない。