始めるのに遅すぎることはない

  Succulent Artist amt株式会社代表、大峰篤史。その存在は、単なるアーティストの枠を超えて、いわば人生を再構築する挑戦者の象徴と言えるかもしれない。

大峰は日本全土を飛び回り、多肉植物の寄せ植えアート作品の販売と、作品をつくるスクールを運営している。現在は東京、京都、滋賀などに拠点を構え、初心者からプロフェッショナルを目指す人材まで、幅広い層に寄せ植えの技術と哲学を伝えている。

かつて京都で、一介の会社員として働いていた大峰。ある日多肉植物の魅力に目覚めた大峰は、脱サラし個人事業主としてアーティストの道を歩み始めた。最初はガーデニングショップでの委託販売や、SNSでの情報発信からのスタートだったと語る。

もっと多肉植物の魅力を、この活動を世に広めたいという情熱に駆り立てられ、大峰はインスタグラムで、約10ヶ月間ほぼ毎日、寄せ植えライブ配信を実行。この努力が実り、オンラインのつながりを通して全国でのワークショップ開催が実現した。直接顔を合わせた際には感動で涙が止まらないほどの充実感、そして多肉植物の寄せ植えが世界を救うと、心の底から思えることができたと、大峰は言葉を紡ぐ。

今、大峰が最も力を注いでいるのは、寄せ植えスクールの全国展開と、後進の育成だ。彼のスクールでは単なる趣味の教室としての運営のみならず、その人の潜在能力を引き出し、講師として活躍できるまでの教育を徹底している。「その一挙手一投足には、愛があるのか。結局のところ活動において重視しているのは、そこになります」そう語る彼の哲学はシンプルだが、力強い。彼の教室にやって来る生徒たちの熱量が高いのも頷ける。

「人生はひっくり返すことができる。始めるのに遅すぎることは、本当にないと思います」大峰が真剣にそう語るのにも、理由があった。若き日に荒れた生活を送った過去。重い病気に侵され、治らないと医者に告げられた経験もある。しかし彼は諦めなかった。生活習慣を根底から見直し、90キロの体重を71キロまで落とすとともに、奇跡的に病を克服。その後も世界最高峰の障害物レースに挑戦し、2500人中105位、上位5%という驚異的な結果を残した。いつ、どんな壁が立ちはだかっても挑戦を恐れない。そんな大峰の前では、誰だって「遅すぎる」とは口が裂けても言えなくなるだろう。

 

寄せ植えを通じて、誰かを幸せにできると気づいた大峰。彼の活動は、人生そのものをより豊かにする新たなカルチャーとして根付いていくに違いない。

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