株式会社SAHエレテクティカルワークスは、電気設備工事・消防設備工事から産業廃棄物収集運搬まで、顧客目線でコスト最適化を図る異色の総合設備企業である。その礎を築くのは、代表取締役社長にして「損得」ではなく「善悪」で仕事を選ぶという、高杉の一貫した信念だ。
工業高校の建築科に進学したものの、当初の高杉は勉強も就職先選びもあまり真剣に慣れなかった。だが24歳で幼なじみと再会し、看護師として献身的に働く彼女の姿に心を打たれる。まるで目覚めたように夜を惜しんで受験勉強に励み、消防設備士甲4類と第一種電気工事士を独学で取得。命を預かる資格を手にした。そして、SAHエレテクティカルワークスを設立した。「彼女に会って、自分は何もできないことを実感しました。だったら、人の役に立つ道を選んで進もうと決心したわけです。真剣に、そして命がけで取り組めば、なんでもできます」
SAHエレテクティカルワークスでは、電気設備工事と消防設備工事、さらには産業廃棄物収集運搬を自社完結する体制を徹底整備。今後は縦割りの業務が生む重複コストも撲滅したいと高杉は語る。大規模施設のLED工事から、小中規模店舗の空調・防犯カメラ設置まで、多彩な現場経験を自らの手でこなしつつ、コスト競争力を武器にクライアントから絶大な信頼を獲得する。
創業メンバーとして苦労を高杉と共にすると誓った多田大樹と三田村健太、幼稚園からの幼馴染の大塚翔太、困ったときは頼りになる弟の光といった仲間が今のSAHを支えていると熱く語る高杉。彼らもまた高杉の熱意に触発され、相次いで電気・消防設備系の資格取得に挑戦している。仲間とともに成長を重ねる組織文化が、会社の屋台骨を支えているのだ。
今後は資格取得などを通じて一社で建物の企画から施工まで担える企業を目指す同社。さらに将来的には宅建や医療サービス事業への参入を視野に、地域課題の解決を担う総合生活インフラ会社へと飛躍を企図している。「ただ、結局のところ技術は手段。肝心なのは、人々が安心して暮らせる空間を作ることですから」
地の利は人の和に如かず。人と人が信頼を紡ぎ、互いを高め合う関係こそが、企業を強く成長させる原動力だという確信が、その言葉には宿っている。