常に向上心を

未来を味わう、甘酸っぱい赤い果実。宇都宮の風に抱かれて育つ赤羽いちご園のいちごは、その一粒一粒が小さな物語を語り出す。丹精込めた土の声を聴き、技術の息吹を吹き込むと、いちごは艶やかに実を結ぶ。やわらかな甘さが唇をほどき、また食べたいと人々を惹きつけてやまない。

栃木県宇都宮市。赤羽いちご園を家族のように守り続けている赤羽代表の姿勢は、地域の輪を広げ、未来へとつながる優しい農業の姿を見せている。

かつて木の温もりを感じ、建築の世界で汗を流していた赤羽代表。「形あるものを未来へ届けたい」と願い、神社仏閣の建築を手がけていた。その繊細な感性は、今の農業にも静かに息づいている。「木といちごは、生きているからこそ面白い。ひとつとして同じものはなく、その微妙な違いを愛おしみながら手を加えています」。そんな姿勢で農業の世界へと踏み出した。

栃木という土地にとどまらず、日本各地、さらには海外へと視察に足を運び、見知らぬ農業に触れていった。香川の限られた水源を活用した栽培、オランダの緻密で自動化された施設。新しい世界に触れるたび、視野は広がり、彼は「もっとおいしく」を追いかけてきた。

いちご農園には、季節の壁がある。収穫が終われば手放さざるを得ない従業員の存在に胸を痛めた赤羽代表は、玉ねぎ栽培という新しい可能性を見つけた。通年雇用を実現し、農業が季節を超えて人を支える力になった瞬間だった。「収入が安定する冬場に比べ、夏場はやや苦しいけれど、いつでも安心して働ける環境が何より大切じゃないですか」。

「農業は作ること以上に、続けられるようにすることが大事」。水やりの機械化や冬場のウォーターカーテンといった工夫を施しながら、無駄を徹底的に削ぎ落とす。そうして空いた時間で「自分にしかできないこと」に心を注ぐ。

赤羽代表の夢は、もう海を越えている。いちごを輸出するだけでなく、その土地で育て、現地の人々と一緒に実を結ぶ農業を目指している。輸送コストを減らし、海外に生産拠点を設けることは、現地の発展にも繋がるからだ。

その夢を叶えるために取得を進めているのが、グローバルギャップ認証。食品安全、環境保護、労働環境への配慮を徹底的に管理し、その取り組みが世界で通用する基準を満たしていることを証明する国際認証だ。130カ国以上で普及し、安全・安心・持続可能な農業経営の証として、赤羽いちご園の競争力と信頼性を高めている。赤羽代表は「この認証を持つことで、海外でも自信をもって私たちのいちごを届けることができる」と胸を張る。

今日もまた、赤羽いちご園のいちごは静かな甘みを宿している。

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